Google検索のAIモードの利用方法とデメリット

目次
Google検索のAIモードとは
Google検索のAIモードは、従来のキーワード検索とは異なり、GoogleのAIを活用して、ユーザーの質問に包括的な回答を生成する新しい検索機能です。
従来の検索との違い
- 従来の検索: キーワードに関連するウェブサイトのリストを表示します。ユーザーは複数のサイトを自分で巡回し、情報を比較・整理する必要があります。
- AIモード: 質問に対して、AIがウェブ上の複数の情報源から必要な情報を集約・整理し、分かりやすい形で回答を生成します。
主な特徴
- 包括的な回答: 複数の検索が必要だった複雑な質問でも、AIが一度にまとめて回答してくれます。例えば、「京都駅出発で6泊7日の旅行プランを立てて。伝統工芸や歴史的な場所を巡るアクティビティ中心で、ディナーにおすすめのレストランも入れて」といった具体的な質問にも対応します。
- クエリ・ファンアウト技術: 質問を複数のサブトピックに分解し、それぞれに対して同時に検索を実行することで、深く広い範囲の情報を探索します。
- 追加質問: 回答の下にある入力バーから、さらに詳しい内容について質問することができます。
- 情報源の提示: 回答の根拠となったウェブサイトのリンクも提示されるため、元の情報を確認することができます。
- 多様な入力方法: テキストだけでなく、音声や画像でも質問できます。
利用状況
- 現在、日本を含む世界180以上の国と地域で提供されており、日本語にも対応しています。
- 従来の検索と比較して、ユーザーはより長い、複雑な質問をする傾向にあります。
- AIモードでは、外部サイトに遷移しない「ゼロクリック率」が高いという特徴があります。
AIモードは、単なる情報検索を超え、ユーザーの知的な活動をサポートする機能として進化しています。
AIモードの利用方法
Google検索のAIモード(または生成AI機能)の利用方法は、以下の通りです。
1. 利用条件の確認
AIモードは、現在、地域やアカウントの状況によって利用できるかどうかが異なります。
- 地域: 主に米国で提供されており、日本でも段階的に利用が拡大されています。
- アカウント: 18歳以上で、ウェブとアプリのアクティビティと検索のカスタマイズが有効になっている必要があります。
もし日本国内で今すぐに試したい場合は、VPNサービスを利用して、米国サーバーに接続する方法もあります。
2. AIモードへのアクセス方法
以下の3つの方法でAIモードにアクセスできます。
- 専用URLにアクセス:
google.com/aiに直接アクセスします。 - 検索バーからアクセス:
www.google.comにアクセスし、検索バーに質問を入力して「AIモード」をタップします。 - Googleアプリからアクセス: Googleアプリのホーム画面にあるAIモードアイコンをタップします。
3. AIモードの使い方
AIモードでは、以下のようなことができます。
- 質問と回答: テキスト、音声、画像を使って質問し、AIによる要約された回答を得ることができます。
- フォローアップの質問: 最初の回答に対して、さらに質問を重ねることで、より深く掘り下げた情報を得られます。例えば、「睡眠の質を高める方法」と検索した後、「ブルーライトと睡眠の関係は?」と追加で質問するといった使い方ができます。
- 情報源の確認: AIの回答には、参照元となったウェブサイトのリンクが含まれているので、さらに詳細な情報を確認したい場合はクリックして元のページにアクセスできます。
- 自然な文章での検索: 従来のキーワード検索とは異なり、チャットのように自然な文章で検索できます。
4. その他の注意点
- Search Labs: AIモードは、Googleの実験的な機能を試せる「Search Labs」から利用できます。Search Labsのアイコンから、AIモードのオン・オフを切り替えることも可能です。
- 広告表示: AIモードの検索結果にも、専用の広告枠に検索広告が表示されます。広告は、オーガニック検索結果とは明確に区別されます。
AIモードは、従来の検索のように複数のウェブページを行き来することなく、知りたい情報の要点を素早く把握できる点が大きな特徴です。
AIモードのデメリット
Google検索のAIモード(AI Overview)の主なデメリットは、以下の点が挙げられます。
1. 情報の不正確さ(ハルシネーション)のリスク
- 誤った情報が含まれる可能性: AIは学習データに基づいて回答を生成しますが、常に正確な情報を判断できるわけではありません。古いデータに基づいたり、文脈を誤解したりすることで、事実とは異なる情報や危険なアドバイスを生成してしまうことがあります。この現象は「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。
- 情報の信憑性の判断が難しい: AIが要約した回答は、一見すると信頼性が高く見えますが、その情報が正しいかどうかをユーザー自身が判断し、ファクトチェックを行う必要があります。
2. ウェブサイト運営者への影響
- ゼロクリック検索の増加: ユーザーがAIの回答だけで満足してしまうと、元の情報源であるウェブサイトへのクリック数が減少します。これにより、「ゼロクリック検索」が増加する傾向にあります。
- トラフィックや収益の減少: 上記のゼロクリック検索の増加は、ウェブサイトへのアクセス数(トラフィック)の減少に直結します。結果として、広告収益やコンバージョン(商品購入、問い合わせなど)の機会が失われるリスクがあります。
- SEO(検索エンジン最適化)の変化: これまでのSEOは、検索結果の上位に表示されることが重要でしたが、AIモードの導入により、AIに引用されるためのコンテンツ作りが求められるなど、新たな戦略の見直しが必要になっています。
3. その他のデメリット
- 詳細な情報が得られない場合がある: AIによる回答はあくまで要約であり、詳細な情報や専門的な内容については、元のウェブサイトにアクセスしないと得られない場合があります。
- 情報源の偏り: AIが参照する情報源が偏る可能性があり、主流の意見や大手メディアの情報が優先され、多様な視点や少数意見が反映されにくくなる可能性があります。
- パーソナライズの過度な進行: ユーザーの過去の検索履歴に基づいて、検索結果が過度にパーソナライズされ、世間一般の情報収集内容から乖離するリスクがあります。
GoogleのAI検索モードが与える影響
Google AI検索モードがもたらす影響については、主にユーザーの検索行動の変化とウェブサイト運営者への影響(特にSEO)の2つの側面で議論されています。
ユーザーの検索行動への影響
- 検索効率の向上と「検索疲れ」の軽減:
- AIが複雑な検索や長い文脈の質問でも、関連トピックを自動で整理し、必要な情報を提示するため、ユーザーが複数のページや検索キーワードを試す苦労が減るとされています。
- 従来の検索に比べ、ユーザーの検索における試行錯誤回数が減少する傾向があります(例: 約半分)。
- AIと対話するように質問を投げかけられ、追加質問でさらに深く掘り下げられるため、直感的で効率的な情報収集が可能になります。
- 「ゼロクリック」の増加:
- AIが要点をまとめた回答を提示するため、ユーザーが外部サイトに遷移せずにAIの回答でニーズを満たすケース(ゼロクリック)が増加する可能性があります。
- 特に「〇〇とは?」といった情報検索は、AIモード内で完結しやすくなります。
- クエリの長文化:
- ユーザーはAIと会話するような形式で質問するため、従来の検索に比べて検索クエリの長さが平均で約2倍になる傾向が見られます。これは、より複雑で詳細な質問をAIに投げかけるようになったことを示しています。
- 情報の多様化:
- AIが多言語の情報も含めて要約するため、従来は検索が難しかった他国語で書かれた情報が検索結果に取り入れられやすくなり、情報の多様化につながる可能性があります。
ウェブサイト運営者・SEOへの影響
- オーガニック検索からの流入数(トラフィック)の変化:
- ゼロクリックの増加により、ウェブサイトへのオーガニック検索からのクリック総数が減少する可能性が懸念されています。
- ただしGoogleは、現時点でオーガニック検索からのクリック総数は安定しているものの、「質の高いクリック」(早期離脱しないクリック)が増加しているとも公表しており、第三者レポートとは対照的な見解もあります。
- 求められるコンテンツの変化:
- AIモードの回答に選ばれる、信頼性が高く網羅的なコンテンツの重要性が高まります。
- 「指名検索」(特定の企業名やサイト名を指定した検索)の重要性も増します。AIを介さずに直接サイトに来てもらう状況を作ることができれば、競合サイト比較を受けずに済みます。
- 広告表示の変化:
- AIによって生成された回答の中やその周辺に広告が表示される仕組みも導入されつつあり、広告主にとっては新たな露出機会となる一方で、オーガニック流入との競合がさらに強まる可能性もあります。
- 「AIリテラシー」の必要性:
- AIモードが提示する検索結果の全てが正しいとは限らないため、ユーザーにはAIの提案を取捨選択する能力がより求められます。
これらの影響は、今後AIモードの普及とともにさらに顕著になっていくと考えられています。




