ECサイトを運用するプラットフォームを比較(種類・費用)

ECプラットフォームの主な種類と比較

ECサイトを運用するプラットフォームは、大きく分けて5つの種類があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。

お客様の事業規模、予算、技術力、実現したいカスタマイズ性に合わせて最適なプラットフォームを比較検討することをおすすめします。

種類特徴コスト(初期/月額)カスタマイズ性集客力適したECサイト
ECモール型巨大なモールに出店。集客力が非常に高い。安い/売上に応じた手数料低い非常に高いまずは集客を重視したい、低予算で始めたい
ASP/SaaS型クラウド上のサービスをレンタル利用。低コスト・短期間で開設可能。安い/安い低い〜中程度低い(自社で集客が必要)スモールスタート、技術力に自信がない、コスト重視
パッケージ型既製ソフトを自社サーバーに導入。高いカスタマイズ性。高い/中〜高い非常に高い低い(自社で集客が必要)大規模EC、独自の複雑な要件がある
オープンソース型無償のソースコードを利用。自由な構築が可能。中/中〜高い(開発・保守費)非常に高い低い(自社で集客が必要)技術力がある、コストを抑えつつ独自性を持たせたい
フルスクラッチ型完全オーダーメイド開発。非常に高い/高い最大低い(自社で集客が必要)完全に独自性の高い大規模EC

主要なプラットフォームの個別比較

特に中小規模から成長期にかけてよく検討されるASP/SaaS型のプラットフォームの中から、代表的な3サービスを比較します。

サービス名特徴強み費用感(月商100万円目安)
Shopify世界的なシェアを持つECプラットフォーム。豊富なアプリ(機能追加)と越境ECに強い。越境EC、拡張性、デザイン性、入金サイクルの早さ(週払い)手数料が安いため、売上が増えるほどコストメリットが出やすい
MakeShop日本国内トップクラスの導入実績。豊富な標準機能と販売促進機能。機能の豊富さ(1,000以上の機能)、初心者でも使いやすい管理画面、Yahoo!ショッピングへの連携が容易月額費用に対して機能が充実。中規模以上のサイトにも対応。
futureshop日本の商習慣に特化した機能(複雑な送料設定など)と、実店舗との連携(OMO/オムニチャネル)に強い。OMO/オムニチャネル対応、国内向け細かな設定の柔軟性、大規模サイト向けの機能成長に合わせたプラン変更が可能。カスタマイズ性が高い。

💡ASP/SaaS型の補足

  • BASE:初期費用・月額費用が無料で始められるため、個人・初心者に非常に人気ですが、売上に対する手数料が高いため、本格的に売上を伸ばす場合は他のプラットフォームへの移行も検討されます。
  • STORES:こちらも手軽さが特徴で、無料プランから始められます。デザインテンプレートが豊富で、直感的な操作性に優れています。

選び方のポイント

1. 事業のフェーズと規模

  • スモールスタート・個人:ECモール型(楽天、Amazon、Yahoo!)やASP/SaaS型(BASE、STORES、Shopifyの低価格プラン)が最適です。
  • 成長期・中規模:Shopify、MakeShop、futureshopなど、機能が充実しており、拡張性の高いSaaS型が適しています。
  • 大規模・独自の要件:パッケージ型やオープンソース型、またはフルスクラッチを検討します。

2. 予算とコスト構造

  • 初期費用や月額費用を抑えたい場合はASP/SaaS型やECモール型。
  • 売上が伸びた時の手数料を重視する場合は、ShopifyやMakeShop、futureshopの有料プランを比較します。

3. 実現したい機能とカスタマイズ性

  • デザインや機能の自由度を求めるなら、パッケージ型やオープンソース型、SaaS型の中でもShopify PlusやW2 Unifiedのような上位プランが適しています。
  • 日本独自の複雑な商習慣に対応したいならMakeShopやfutureshopが強いです。
  • 越境EC(海外販売)を重視するならShopifyが最適です。

ECサイト運用プラットフォームの種類

ECサイトを構築・運用する方法は、大きく分けて以下の3種類があります。

種類特徴メリットデメリット主な例
ASP/SaaS型 (カートシステム)提供事業者のシステムを利用してECサイトを開設・運用する。クラウドで提供され、すぐに始められる。サーバー構築や保守が不要。低コストで始めやすい。セキュリティ対策も提供元が行う。自由なカスタマイズが難しい。機能が提供元に依存する。大規模な拡張に限界がある。Shopify, BASE, STORES, MakeShop
オープンソース型無償公開されているプログラム(ソースコード)をダウンロードし、自分でサーバーにインストールしてECサイトを構築する。自由なカスタマイズが可能。ライセンス費用がかからない。機能追加(プラグイン)が豊富。サーバー構築・運用・保守、セキュリティ対策を全て自前で行う必要がある。専門知識が必要。EC-CUBE, Magento
パッケージ型ECサイト構築に必要な機能がセットになったソフトウェア(パッケージ)を購入し、自社のサーバーにインストールして利用する。自由度が高く、独自機能の開発や基幹システム連携など大規模なサイト構築に向く。サポート体制がある。導入・開発コストが非常に高い。構築期間が長い。中小規模のサイトには不向き。ecbeing, Commerceri, S-Cart

補足: モール型との違い

上記は「自社ECサイト」を構築・運用するためのプラットフォームです。これとは別に、Amazonや楽天市場などのECモールに出店するという選択肢もあります。

種類形式特徴
自社ECサイト独立した店舗デザイン、機能、集客方法などすべてを自由に決定できる。ブランドの世界観を表現しやすい。
ECモール巨大な商業施設への出店集客力が高く、すぐに顧客に見てもらえる。システム構築・運用は不要。競合が多い。手数料がかかる。

ECサイトの目的や予算、必要な機能によって、最適なプラットフォームは異なります。

主要ECサイトプラットフォームの費用比較(ASP・モール型)

プラットフォームの費用比較を表にまとめました。

ECサイトの構築・運営費用は、「初期費用」「月額費用」「決済手数料」「販売手数料」などによって大きく変動します。特に、ASP(SaaS)型は安価に始められ、モール型は集客力が高いものの手数料が高くなる傾向があります。

プラットフォーム初期費用月額費用(最安プラン~)主な手数料特徴
BASE0円0円 (スタンダード)スタンダード: サービス利用料3% + 決済手数料3.6%+40円/件初心者向け。手軽に始めたい小規模事業者におすすめ。
STORES0円0円 (フリー)フリー: 決済手数料5% / スタンダード: 3.6%BASEと同様に手軽に始められ、無料プランでも機能が充実。
Shopify0円約4,850円~ (Basicプラン)決済手数料: 3.4%~(プランによる)世界最大級。越境ECにも強く、拡張性が高い。
カラーミーショップ0円約4,950円~ (レギュラープラン)決済手数料: 3.19%~(プランによる)国産EC。デザインの自由度が高く、中規模ECを育てたい場合に適する。
makeshop11,000円13,750円~ (プレミアムプラン)販売手数料: 0円機能数が多く、特に売上規模の大きいショップ向け。
楽天市場 (モール)約6万円約2.5万円~販売手数料 (商品ジャンルによる) + システム利用料 + 各種手数料集客力が非常に高いが、ランニングコストが高め。
EC-CUBE (クラウド版)0円7,480円~ (Liteプラン)決済手数料:3.4%ダウンロード版は無料だが、クラウド版はサポートとセキュリティが充実。カスタマイズ性が高い。

💡 注意点:

  • 上記費用は目安であり、選択するプラン、契約期間(年払い/月払い)、利用する機能によって大きく変動します。
  • 月額費用が安くても、売上に応じてかかる決済手数料や販売手数料が高めに設定されている場合があり、トータルのコストは売上規模によって逆転する可能性があります。
  • 特にモール型(楽天市場など)は、販売手数料やポイント原資負担など、表に記載しきれない各種費用が発生します。

ECサイト構築方法別の費用相場

プラットフォームの利用形態(構築方法)によっても、初期費用とランニングコストの傾向が異なります。

構築方法初期費用の相場ランニングコストの相場メリットデメリット
ASP / SaaS型0円~数万円数千円~数万円/月安価で手軽に始められる。システム更新不要。デザインや機能のカスタマイズに制限がある。
オープンソース型数十万円~数百万円数万円~数十万円/月カスタマイズ性が高い。専門知識が必要。セキュリティ、システム更新は自己責任。
ECパッケージ型数百万円~数千万円数十万円~百万円/月必要な機能が揃っている。柔軟なカスタマイズが可能。初期費用が非常に高額。中小規模には不向き。
フルスクラッチ型数千万円以上数十万円~百万円以上/月独自の要件に完全に合わせたシステムを構築可能。納期が長く、最も高額。保守・運用も自社負担。

どのECプラットフォームを選ぶかは、予算、必要な機能、目標とする売上規模、システム開発の知識など、さまざまな要因を考慮する必要があります。

有料WordPressテーマがECサイトに有利な点

項目内容無料テーマとの違い・メリット
1. デザイン品質プロのデザイナーが設計しており、ブランディング力・信頼感が高い無料テーマより洗練されたデザイン・UX(ユーザー体験)
2. WooCommerce対応EC機能に特化したテンプレートや商品ページデザインが充実無料テーマはWooCommerceに完全対応していないことが多い
3. 高速表示コードが最適化されており、読み込みが速い無料テーマでは速度チューニングが不十分な場合あり
4. カスタマイズ性管理画面からデザイン・色・レイアウト変更が簡単無料テーマはCSS編集が必要な場合が多い
5. サポート体制開発元のサポートがあり、トラブル時に対応可能無料テーマは基本的に自己解決が必要
6. セキュリティ更新定期的にアップデートされ、脆弱性対策がされている無料テーマは更新が止まることが多い
7. コンバージョン最適化商品購入・問い合わせ導線を考慮した設計無料テーマはブログ中心でEC向きでないことが多い
8. 多機能プラグイン連携WooCommerce拡張やLP作成などと相性が良い無料テーマでは動作保証がない場合も
9. モバイル最適化(レスポンシブ)スマホユーザー向けの購入導線が最適化無料テーマでは表示崩れや導線不備もあり
10. SEO・スキーマ構造対応商品・レビューなどの構造化データに対応検索結果でリッチリザルトが出やすい

ECサイトに適したWordPressテーマ比較

これらのテーマは主にブログやアフィリエイト、ビジネスサイト構築に強みを持つものが多く、ECサイト(特に本格的な物販サイト)専用として設計されているわけではありません。そのため、ECサイトを構築する場合は、通常、WooCommerceなどのECプラグインを導入して使用することが前提となります。

以下の評価は、ECサイト構築に必要なデザインの柔軟性、カスタマイズ性、表示速度、およびWooCommerceなどのプラグインとの相性を総合的に判断したものです。

順位テーマ名ECサイトへの適性(WooCommerce使用前提)特徴・補足
1位THE THOR(ザ・トール)高い高いデザイン性とカスタマイズ性を持ち、多様なサイト構築に対応可能。表示速度も速く、ECサイトとしても十分な機能とデザインを実現しやすい。
2位Emanon(エマノン)比較的高いビジネスサイトやコーポレートサイト向けに開発されており、商品紹介やサービス販売といったEC的な要素を持つサイト構築に適している。
3位LIQUID PRESS(リキッドプレス)中程度多用途に対応するテーマが多く、ECサイト向けのテンプレートや機能を持つバージョンも存在する。汎用的なカスタマイズ性がある。
4位GOLD BLOG(ゴールドブログ)中程度THE THORの後継的なテーマで、ブログ・アフィリエイトに特化しているが、高いカスタマイズ性からWooCommerceとの連携で対応可能。
5位STORK SE(ストークSE)やや低いブログ・アフィリエイトに強み。デザインがシンプルで洗練されているため、商品画像などが映えるECサイトには転用可能だが、機能的な拡張はプラグインに大きく依存する。
6位RE:DIVER(リダイバー)やや低いブログ向けのデザインが中心。カスタマイズ性は高いものの、ECサイト特有の機能(商品一覧、決済など)は完全にWooCommerce任せとなる。
7位GOLD MEDIA(ゴールドメディア)低いメディアサイトやニュースサイトなど、情報発信に特化した設計になっている傾向が強く、ECサイトへの転用はデザイン・機能面で工夫が必要。

重要なポイント

  1. プラグイン依存: 上記のテーマで本格的なECサイトを運営する場合、「WooCommerce(ウーコマース)」などのEC機能を提供するプラグインの導入と設定が必須となります。テーマはデザインと基本的な枠組みを提供し、EC機能はプラグインが担います。
  2. デザインと速度: ECサイトにおいては、商品の魅力を引き出すデザインとページの表示速度が非常に重要です。上記テーマはいずれも比較的表示速度に優れていますが、ECプラグインを導入し、多くの商品画像を扱うことで速度が低下する可能性があるため、最適化が求められます。

もし、特に物販に特化したECサイトを構築したい場合は、上記テーマ群よりも、あらかじめECサイト専用に設計されたWordPressテーマや、ShopifyなどのECプラットフォームの利用を検討する方が効率的である場合もあります。