EC-CUBE(イーシーキューブ)はECサイト構築用オープンソースソフトウェア

EC-CUBE(イーシーキューブ)とは

EC-CUBE(イーシーキューブ)は、株式会社イーシーキューブが提供する日本発のECサイト(ネットショップ)構築用オープンソースソフトウェアです。

ECサイト運営に必要な基本機能が一通り揃っており、ソースコードが公開されているため、誰でも無料でダウンロード・利用でき、自由にカスタマイズできる点が大きな特徴です。

主な特徴と提供形態

1. オープンソースであること

  • EC-CUBEの最も重要な特徴です。ソフトウェアのソースコードが公開されているため、利用者は無料で利用、改変、再配布が可能です。
  • これにより、自社のビジネスモデルや必要な機能に合わせて、デザインやシステムを自由自在にカスタマイズできます。

2. 純国産サービス

  • 日本で開発されたため、日本語でのサポートや情報(マニュアル、コミュニティなど)が充実しており、日本の商習慣に合った機能や決済方法に対応しやすいです。
  • 国内での導入実績も豊富です。

3. 提供形態

EC-CUBEには大きく分けて2つの提供形態があります。

形態特徴メリットデメリット
ダウンロード版 (オープンソース)ソースコードを無料でダウンロードし、自分でサーバーなどにインストールして利用。カスタマイズの自由度が最も高い。本体費用は無料。サーバー・ドメイン費用、セキュリティ対策、システムの保守管理を自分で行う必要がある。専門知識が必要。
クラウド版 (EC-CUBEのSaaS/ASP)EC-CUBE社が用意した環境でECサイトを構築・運営。サーバー管理やシステムアップデート、セキュリティ対策などをEC-CUBE側が行うため、手軽に始めやすい。月額利用料が発生する。ダウンロード版よりカスタマイズの自由度は制限される。

EC-CUBEのメリットとデメリット

EC-CUBEは、特に柔軟性の高いカスタマイズを求める事業者や、開発コストを抑えたい事業者に選ばれています。

メリット (開発・ダウンロード版の場合)

  • 初期費用を抑えられる:ソフトウェア本体は無料。
  • 高いカスタマイズ性:ソースコードを自由に改変できるため、ASPカートでは実現できない複雑な機能やデザインのECサイトを構築できる。
  • ベンダーロックインのリスクが低い:蓄積されたECデータやソースコードが自社の資産となるため、特定の開発ベンダーに依存しにくい。
  • 日本語の情報が豊富:開発コミュニティやパートナー企業が多く、問題解決のための情報を見つけやすい。

デメリット (開発・ダウンロード版の場合)

  • 専門知識が必要:サーバー構築、システム設定、セキュリティ対策、カスタマイズには、ある程度の技術的な知識が求められる(開発会社への外注も可能)。
  • セキュリティ対策の自己責任:システムのアップデートや脆弱性への対応を自社で(または外注で)行う必要がある。
  • 集客は独自で行う必要:Amazonや楽天市場のような巨大モールのような集客力はないため、広告やSEOなど独自のマーケティング活動が必要となる。

利用数

EC-CUBEの稼働店舗数(導入実績)は、35,000以上(推定)とされています。

この数字は、EC-CUBEを提供する株式会社イーシーキューブの公式情報や関連する調査で確認できます。

EC-CUBEの利用状況に関する主なデータ

  • 稼働店舗数(推定)35,000以上
    • あらゆるジャンルのECサイト構築に利用されています。
  • 年間流通総額2,100億円
  • ダウンロード数180万ダウンロードを突破
  • 市場シェア:国内のECサイト構築プラットフォーム全体において、トップクラスのシェア(約20%前後とされる調査結果もあります)を占めています。
  • 高売上層での実績:「月商1,000万円以上で利用されているカートシステム」の利用数でNo.1を獲得した実績もあります(2020年時点の調査)。

これらの実績は、EC-CUBEがオープンソース型のEC構築パッケージとして、多くの企業や事業者に利用されていることを示しています。

利用料

EC-CUBEの利用料は、ダウンロード版とクラウド版(ec-cube.co)のどちらを選ぶかによって大きく異なります。

1. ダウンロード版(オープンソース)

EC-CUBEをダウンロードして、ご自身でサーバーにインストールし、ECサイトを構築・運用する形式です。

  • EC-CUBE本体の費用(ライセンス)
    • GPLライセンス:無料
      • EC-CUBEを改変した場合、そのソースコードを公開する義務があります。
    • 商用ライセンス:1サイトあたり264,000円(税込)
      • ソースコードを公開したくない場合や、カスタマイズ性が高い独自のECサイトを構築する場合に必要となる有料のライセンスです。
  • その他の必須費用
    • サーバー費用: レンタルサーバーやVPSなどが必要です。
      • 相場は、初期費用が数千円から、月額費用が数百円〜数万円程度と幅広いです(利用するサーバー会社やプランによります)。
    • ドメイン費用: 独自ドメインを取得する場合は別途費用がかかります。
    • 決済手数料: 利用する決済代行サービスによって、初期費用、月額費用、決済ごとの手数料などが異なります。

2. クラウド版(ec-cube.co)

EC-CUBEの環境が構築済みのクラウドサービスとして利用する形式です。サーバーやシステムメンテナンスの心配がなく、すぐに始められます。

プラン名初期費用(税抜)月額費用(税抜)備考
Liteプラン無料6,800円~はじめてECサイトを立ち上げる方向け。販売額に応じて従量課金が発生します。(例:販売額50万円超過で6,800円+超過分×1.3%)
Standardプラン70,000円49,800円~84,800円制作会社と連携した本格的なサイト運営・カスタマイズが可能な方向け。販売額に応じて月額料金が変動します。
  • 決済手数料: ダウンロード版と同様に、別途決済代行サービスとの契約が必要です。

まとめ

EC-CUBEは、本体は無料で利用可能ですが、実際にECサイトを運営するには、選択した方式(ダウンロード版/クラウド版)や規模に応じたサーバー費用ドメイン費用決済手数料、および必要に応じたライセンス費用構築・保守の外注費用などが発生します。

  • 最安で始める場合: ダウンロード版をGPLライセンスで利用し、安価なレンタルサーバーを契約する。
  • 手軽に始める場合: クラウド版のLiteプランを利用する(初期費用無料、月額6,800円〜)。
  • 本格的にカスタマイズする場合: ダウンロード版で商用ライセンスを取得するか、クラウド版Standardプランを利用し、開発会社に構築を依頼する。

ランニングコスト

EC-CUBEのランニングコストは、利用する形態(ダウンロード版かクラウド版か)やECサイトの規模、運用体制、必要なカスタマイズの有無によって大きく異なります。

主なランニングコストとなる項目を、EC-CUBEの利用形態ごとにまとめます。

1. ダウンロード版(オープンソース)のランニングコスト

EC-CUBEのプログラム自体は無料(GPLライセンス)で利用できますが、ECサイトを運用するために以下の費用がかかります。

費用項目費用の目安(ランニングコスト)備考
サーバー代年間3,600円〜140,000円程度(レンタルサーバーの場合) 月額数十万円(クラウド/VPS、大規模サイト、冗長化含む場合)ECサイトを稼働させるためのサーバー費用です。
ドメイン維持費年間1,000円〜6,000円程度サイトのURLとなる独自ドメインの維持費用です。
SSLサーバー証明書年間10,000円〜100,000円程度セキュリティ対策として必須です。レンタルサーバーによっては無料の場合もあります。
決済手数料売上額の約3〜5%程度 + 契約料(決済代行会社による)商品が売れるたびに発生する費用です。
保守・メンテナンス費用月額30,000円〜100,000円程度(外注の場合)システムのアップデート、セキュリティ対策、バックアップ、障害対応などの費用です。自社で行う場合は人件費となります。
プラグイン費用プラグインによる機能追加のために有料プラグインを導入する場合に発生します。
運用費用月額50,000円〜(外注の場合)商品登録、在庫管理、顧客対応、マーケティングなどの人件費(自社または外注)です。
商用ライセンス料264,000円/1サイト(任意)ソースコードを公開したくないなど、特定の条件で必要になります。通常は無料のGPLライセンスで利用可能です。
ダウンロード版のポイント
  • カスタマイズ性が高い反面、サーバー、セキュリティ、アップデートなどは自己責任(または外注)で対応する必要があり、専門知識や運用リソースが求められます。
  • ランニングコストは、保守・メンテナンスやサーバー費用、人件費が大きな割合を占めます。

2. クラウド版(ec-cube.co)のランニングコスト

EC-CUBEが提供するクラウドサービス版では、サーバーやセキュリティ、アップデートがサービスに含まれるため、ランニングコストの構造が異なります。

プラン月額費用(税込)初期費用(税込)特徴
Liteプラン7,480円〜
(売上50万円超過分は1.3%加算)
無料スモールスタート向け。EC-CUBEの基本機能
Standardプラン54,780円〜93,280円
(売上に応じて変動)
77,000円本格的なECサイト向け。Git管理、カスタマイズなど充実した機能。

※上記の料金は情報源に基づくものであり、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

クラウド版のポイント
  • 月額費用にサーバー代、セキュリティ対策、アップデート費用が含まれます(販売額に応じて変動)。
  • ダウンロード版と異なり、これらの保守・メンテナンスの手間や費用を大幅に削減できます。
  • 別途、決済手数料(売上額の約3〜5%程度)と独自ドメイン維持費は発生します。

あなたのECサイトの規模、カスタマイズの必要性、自社の技術的なリソースによって、最適な選択肢とランニングコストは変わってきます。

口コミ・評価

EC-CUBEは、日本国内で広く利用されているオープンソースのECサイト構築システムです。口コミや評判から見られる主な特徴や意見をまとめると、以下のようになります。

ポジティブな点(メリット)

  • カスタマイズ性の高さ: オープンソースであるため、自由なカスタマイズが可能で、独自の要望や機能追加に対応しやすいという声が多いです。
  • プラグインの豊富さ: 必要な機能はプラグインで比較的容易に追加・拡張できる点が評価されています。
  • 初期コストを抑えられる: ライセンス費用がかからないため、導入しやすいという意見があります。
  • 管理画面の使いやすさ: UI(ユーザーインターフェース)が分かりやすく、操作しやすいと感じるユーザーもいます。
  • 国内での実績と情報: 日本国内での利用者が多く、情報(コミュニティやドキュメントなど)が豊富に見つかりやすいという利点があります。

ネガティブな点(デメリットや注意点)

  • 技術的な知識が必要な場合がある: カスタマイズや問題が発生した際に、ある程度のプログラム知識や技術者が必要になる場合があります。技術力がない企業には向かないという意見もあります。
  • 保守・運用コスト: 自社で技術者がいない場合、外部に保守・運用を依頼する必要があり、長期的なコストが高くなる可能性があります。
  • アップデート/バージョンアップの対応: 新しいバージョンへの移行やバグ対応に手間や時間がかかることがあるとの指摘があります。
  • 情報量の多さ: コミュニティの情報が多すぎるため、必要な情報を見つけるのが難しいと感じるユーザーもいます。

まとめ

EC-CUBEは、「カスタマイズ性の高さを活かしたい」「社内に技術者がいる、または開発会社に依頼できる」「ライセンス費用を抑えたい」といった場合に特にメリットが大きいと言えます。

一方で、技術的な知識や保守体制がない場合は、SaaS型のECプラットフォーム(Shopifyなど)と比較検討する必要があるでしょう。

導入を検討されている場合は、ご自身の事業規模、技術力、実現したい機能などを考慮し、複数のレビューサイトや導入事例を確認することをおすすめします。

EC-CUBEとWordPressどちらが多い

ECサイト全体としてので比較すると、WordPressのほうが多い可能性が高いと考えられます。

理由としては、以下の点が挙げられます。

  1. WordPressの圧倒的な普及率:
    • WordPressは世界的に見ても、また日本国内のウェブサイト全体としても、**最も利用されているCMS(コンテンツ管理システム)**で、そのシェアは非常に高いです。
    • ECサイト専用ではありませんが、「WooCommerce」や「Welcart」といったEC機能を追加するプラグインが充実しており、これらを利用してECサイトを構築している事例が多数あります。
  2. EC-CUBEの立ち位置:
    • EC-CUBEは、ECサイト構築に特化して開発されたオープンソースのプラットフォームであり、日本の商習慣に合った機能やコミュニティの充実度が高いのが特徴です。
    • 特定の調査(月商100万円以上のネットショップ担当者向けなど)では、ECサイト構築サービスの中でEC-CUBEがトップシェアを占めたというデータもありますが、ウェブサイト全体で見たWordPressの総数には及びません。

まとめると:

  • WordPress(ECプラグイン利用を含む):ウェブサイト全体での普及率が圧倒的に高く、その中でECサイトとして利用されているものも多いため、総数としては非常に多いと考えられます。
  • EC-CUBE:ECサイト構築に特化した純粋なECプラットフォームとしては日本国内で高い人気とシェアを持っていますが、WordPressの総数には及ばないでしょう。

したがって、ECサイトとして利用されているサイトの総数で比較すると、WordPressのほうが圧倒的に多い可能性が高いです。

ECサイトのデザイン

売れるECサイトにするためには、見た目の美しさだけでなく、使いやすさ(ユーザビリティ)と購入までの動線が非常に重要になります。

主なポイントと最近のデザイントレンド、参考になる事例をまとめます。

1. 売れるECサイトのデザインのポイント

要素ポイント
シンプルさ情報を詰め込みすぎず、ユーザーが迷わないデザインにする。余白を効果的に使い、見たい情報に集中できるようにする。
レスポンシブPCだけでなく、スマートフォンで快適に閲覧・購入できるデザインにする(モバイルファースト)。
ブランドイメージターゲット層や商品のイメージに合った配色フォントスタイルを採用し、世界観を伝える。
商品写真大きく、高品質な商品写真を使用する。利用シーンや詳細が分かる複数のカット、動画なども有効。
購入動線商品ページからカート、決済までの流れを直感的に分かりやすくし、迷いや離脱を防ぐ。CV(コンバージョン)ボタンの色や文言も工夫する。
ファーストビューサイトを訪れて最初に目に入る画面に、魅力的な商品キャンペーン情報を配置し、ユーザーの興味を引く。
信頼性決済方法、送料、返品・交換規定、会社概要などの情報を分かりやすい場所に明記する。

2. ECサイトの最新デザイントレンド

近年、ECサイトではよりリッチな表現やユーザー体験を重視したデザインが増えています。

  • ニューモーフィズム / グラスモーフィズム:
    • ニューモーフィズム: 背景の微妙な陰影や光沢で要素を立体的に見せるデザイン。
    • グラスモーフィズム: 透明感とぼかし効果で、ガラス越しに見ているような表現をするデザイン。
  • モーション&インタラクティブ: サイト背景での動画利用や、スクロールやマウスの動きに合わせたパララックスアニメーションなど、動きのあるデザインでユーザーの目を引く。
  • 巨大なタイポグラフィ: インパクトのある大きな文字でメッセージを伝える。
  • ミニマルデザイン / ホワイトスペース: 不要な情報を削ぎ落とし、余白を多く取ることで、洗練された印象を与え、コンテンツへの集中を高める。
  • ウェブアクセシビリティへの配慮: 視覚や聴覚、動作に制約のあるユーザーも使いやすいよう、高コントラストな配色や適切なHTML構造などを意識する。
  • レトロ・ネオブルータリズム: 過去の流行を再解釈したデザインや、あえて無骨でシンプルなデザインを取り入れる動き。

3. 参考になるECサイト事例

デザインの参考になるECサイトの事例を探すには、以下のようなギャラリーサイトを活用するのがおすすめです。

  • MUUUUU.ORG:国内のWebデザインを豊富に集めたギャラリーサイト。「ECサイト・ネットショップ」のカテゴリもあります。
  • Cartfrenzy:海外のECサイトデザインを専門に集めたギャラリーサイト。
  • SANKOU!:国内の素敵なWebサイトをジャンルを問わず集めています。

また、誰もが知る大手ECサイトも機能性や使いやすさの点で参考になります。

  • UNIQLO(ユニクロ):商品点数が非常に多いアパレル商材を、分かりやすく整理されたナビゲーションと、MySize ASSISTなどの便利な機能で展開しています。

どのような商品を取り扱うか、ターゲット層は誰かによって最適なデザインは異なりますので、様々な事例を見てイメージを具体化してみてください。

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